第二章

それからしばらくして、いつものようにカエルの子供達の似顔絵を描いていたトォーモはは、棕櫚の木に登らなくては行けない日がやって来たのに気がつきました。日に焼けた子供達の肌の色は露草を絞った緑色では薄すぎるのです。
棕櫚の木のテッペンの葉っぱでなければいい色がでないので、ちょっと怖くても下を見ないようにして登っていきました。やっと登って葉っぱをとろうとした時、その先に黒い手袋があるのに気がつきました。

『デビーの大切な手袋』にちがいありません。

届けよう! と思ったとたんに体が動いてトォーモははあれほど嫌っていた池の面にバシャーンと飛び込んでいました。
息のつづく限り潜ったままでいてもうダメだ、、と思う所で顔を上げました。そこには知らない葉っぱがたくさん生えています。
どうもここが”イケノアチラ”のようです。
デビーを探してはやく手袋を届けてあげなくてはなりません。葉っぱの中を走って進むと人影が見えます。
『ピエロガエルのデビーを知りませんかー』大きな声で叫ぶと、その人影が振り返りました。
ピンクの皮膚でブルーの目、トォーモははびっくりしました。はじめて見る体の色だったからです。しかもたくさんのイボ。
『知らねえな、そのデビーとやらはドンなカオだい』大きな体を揺らしてそのカエルが聞いてきました。
『とっても珍しい赤い目の女の子よ』と言うと
『赤目なんざあめずらしくもねえ。そこらじゅうにいるさ。それよりお前の黒い目はなんてきれいなんだ。ちょっとそばに来てみせておくれ。そうそう”イケノソチラ”ではデビーっていうカエルのショーががたいそうな人気らしいぜ。赤目かどうかはわからんけどな。行ってみるかい?』

『ありがとう。行ってみます。どっちですか?』
『どっちもこっちもあるもんかい。ショーはもうすぐはじまるぜ。お前のその貧弱な足じゃあ2日はかかるが、おれのこのイボにつかまっていりゃあひとっ飛びさ。しかっりつかまってろよ』

ぴょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン